Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「…………ッ!!」
数秒、あるいは永遠に感じられた時間の後、爆豪が弾かれたように体を離した。
「……っ、わりぃ………」
我に返った爆豪の瞳に、激しい動揺が走る。
自分が何をしたのか。
無意識のうちに、欲望のままに動いてしまった自分に、彼自身が誰よりも驚愕していた。
(……何やってんだ、俺は。……無意識? 事故? 笑えねぇわ……)
爆豪は顔を背け、片手で顔を覆っていた。
手の隙間から見える耳は、花火の火花よりも赤く火照っている。
「……っ、クソが……」
激しい自己嫌悪と、唇に残る消えない熱情。
プロヒーローの彼が、これほどまでに己の制御を失ったことなど、かつて一度もなかった。
無意識だった。
だが、否定しようのない「本気」がそこにはあった。
隣ではエミリアもまた、現実感を喪失したまま俯いていた。
指先で、そっと自らの唇をなぞる。
(……今…キス、した…?…BLASTと………)
繰り返される反芻。
バーチャル世界の精巧な五感が、彼の呼気や、一瞬触れた熱を鮮明に再生し続ける。
現実の部屋でログインしている彼女の心拍数は、すでに限界を超えて警告音を鳴らしていた。
だが、今の彼女にはそれすら耳に届かなかったーー。