Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「……BLAST?」
ふいに向き直った彼女の瞳には、夜空を彩る幾千の光が星屑のように反射していた。
ーー金魚を掬って無邪気に笑っていた子供のような輝き。
ーーその奥に潜む、誰にも触れさせなかった孤独。
そのあまりの美しさに、爆豪は呼吸を忘れた。
「花火、見ないんですか……? せっかくの特別席なのに……っ」
首を傾げた彼女の唇が小さく動く。
その瞬間、爆豪の中で何かが弾けた。
理由なんてなかった。
ただ、その宝石のような瞳に、吸い込まれるように惹きつけられた。
抗えない引力に逆らうことをやめ、ゆっくりと、けれど確かな意思を持って距離を詰める。
(……あぁ、クソ。知るかよ)
理性が熱に焼かれて蒸発していく。
無意識に、吸い寄せられるように体が動いた。
驚きに目を見開いた彼女が見える。
重なる、唇がーー
ーー熱い。
仮想世界の触覚再現システムが、唇に触れる柔らかさと、吐息の熱を異常なまでの鮮明さで脳に伝えてくる。
触れた彼女の唇は想像していたよりもずっと柔らかい。
現実(リアル)じゃないデータの触覚だってことは分かってる。
なのに、そこから流れ込んでくる熱は、爆豪の鼓動を狂わせるには十分すぎるほど「本物」だった。
心臓が、耳元でうるせぇほど鳴り響いてたーー。