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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第2章 初恋は、0と1の境界線上で


デバイスの接続を解除した瞬間、現実の静寂がを包み込んだ。
薄暗い自室の微かに聞こえるPCの冷却ファンの音だけが、今の今まで自分が「別の世界」にいたことを思い出させる。



「……花火大会、誘っちゃった」



自然と口元が緩む。
来週の今頃は、彼と二人で夜空を見上げているはずだ。
そう思った瞬間、の思考がある一点でピタリと止まった。



「……待って。花火大会に、二人きり。それも、仕事の招待じゃなくて……私の私用(プライベート)で、って……」



思考が急速に熱を帯びる。




「……これ、客観的に見て……『デート』じゃないっ!?」




ガバッと跳ね起きると、あまりの恥ずかしさに枕に顔を埋めてのたうち回った。


「どうしよう……変に思われたかな。そもそも、彼も……気づいてるのかな」










一方、爆豪もまたデバイスを脱ぎ捨てたベッドの上で、天井の一点を見つめたまま固まっていた。



「…………」



脳内をリプレイされるのは、彼女の少しはにかんだような微笑み。



『ただの私として、あなたと一緒に見たい』

 

そのセリフを、静かな部屋で一人、文字通りに反芻する。



「……あ?」


一拍。二拍。


「……デートじゃねぇか、それ!!」



叫びそうになるのを喉元で押し殺し、バッと顔を覆った。
ただの暇つぶしだ、昨日の礼だ、そう自分を納得させようとした理屈が、根底から崩れ去る。



男と女が祭りの夜に、二人きりで特等席。
そんなもん、どこをどう切り取っても「デート」以外の何物でもない。



「……クソがっ! んなもん、今更気づいて……」



心臓の鼓動が、まるで爆発の予兆のように激しくなる。
今更「やっぱり無しだ」なんて言えるはずもない。
何より、期待していないと言えば嘘になるし、どうしようもなく落ち着かなかった。



「……浴衣だぁ? んなもん、持ってねぇわ……」




言いながら、彼はすでにスマートフォンの検索欄に「ZERO WORLD 浴衣 男 かっこいい」と打ち込み始めていた。






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