Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
『SEVEN STARS GLOW』
ーー消えない夜を越えて 七つの星が重なる場所へーー
その歌い出しは、ささやくような慈愛に満ちていた。
だが、サビに向かうにつれ歌声は力強く、天を衝くような高揚感を持って加速していく。
彼女の周囲には、天空城に集まった四つの国の光が寄り添うように旋回し、彼女の頭上に「七つの星」を形作っていったーー。
「…………」
爆豪は瞬きも忘れて彼女を見つめていた。
あの入り江で隣に座り、寂しげに笑っていた少女とは別人のような輝き。
けれど、その力強い旋律の奥底に自分だけが知っている「一人きりの夜」を乗り越えた強さがあることを、彼は確かに感じ取っていた。
光の翼を羽ばたかせ、天空城の空を舞いながら歌う彼女。
「……エミリア」
爆豪は拳を握りしめ、胸の中で呟いた。
この神々しい姿が、誰に作られた偶像でもない。
あの孤独な瞳を持つ少女が、自らの意志で光の中に立っている。
その事実が、何よりも彼の胸を熱くさせた。
彼女は歌いながらふと、特等席へと視線を向けた。
数万の観客、数千万の配信視聴者。
その膨大な視線を置き去りにして、彼女の瞳はまっすぐに、自分を見つけ出した一人の男を捉える。
天使のような微笑みを浮かべ、彼女は最後のフレーズを天へと解き放った。
その瞬間、天空城から世界中の空へと、祝福の光が雪崩のように降り注いでいったーー。