Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「――うわぁ、見てよ! 『アクア・クリスタリア』のパレード、水の精霊のアバターたちが凄く精巧に作られてる……!」
緑谷はいつもの分析癖を全開にして、空中を舞う光の魚たちに目を輝かせている。
「おい、せっかくの休みなんだから、いちいちシステムのことばっかりじゃなくて…ほら、この限定回復アイテム(ドリンク)、美味いぜ!」
三人は『ツクヨミ・レルム』の屋台で、祭典限定の酒や料理を買込み、プロヒーローとしての顔を完全に脱ぎ捨てて笑い合った。
上鳴は首から祭典限定の光るエフェクトパーツをぶら下げ、すっかり観光客気分で浮かれている。
「……チッ、どこもかしこも人酔いしそうなほどいやがる。これじゃ現実のパトロールと変わらねぇわ」
爆豪は不機嫌そうに鼻を鳴らしながらも、いつもより少しだけ緩い足取りで二人の後を歩いていた。
その視線は時折、遥か上空に浮かぶ白亜の城へと向けられる。
「あはは、かっちゃんらしいね。でも、あそこは別世界だって言うじゃない? パスを持ってる人しか入れない、特別な場所……。そこに行けるなんて、今でも信じられないよ」
「……あぁ。あそこに行きゃあ、このクソ騒がしい喧騒も届かねぇだろ。……行くぞ。そろそろ時間だ」
「おっ、いよいよか! 待ってろよエミリアちゃん! 俺、今日のために色々奮発してきたからな!」
「上鳴くん、鼻息が荒いよ……。でも、本当だね。0時まであと少し。……行こう、かっちゃん!」
三人は、中央広場に設置された「天空の城」専用のワープゲートへと向かった。
他のユーザーたちが羨望と溜息を漏らしながらモニターを見上げる中、BLASTが銀色の羽をゲートにかざす。
瞬間、周囲の喧騒がふっと消え、三人の体は真白な雲海を突き抜けて、天の頂へと吸い込まれていったーー。