Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「知り合いって……かっちゃんの知り合いにそんな凄い権限持ってる人がいるの!? 凄すぎるよ、これ、夢じゃないよね……」
緑谷は感極まったように、空中のアイコンを拝むように見つめている。
「うおおおお! 爆豪、一生付いていくぜ! 画面越しじゃなくて、あの空の上でエミリアの生歌が聴けるなんて……! マジでサンキューな!」
上鳴は涙目で爆豪の肩を叩き、緑谷もまた、目を潤ませて何度も何度も頷いている。
「……ったく。うるせぇんだよテメェらは。……せっかくの祭典だ。モニター越しでシケた面して見てんのも癪だからな。連れてってやるっつってんだわ」
「かっちゃん……ありがとう。本当に嬉しいよ。僕、当日までしっかり仕事頑張るから!」
「俺も! 貯金、当日の正装(アバター用)に突っ込むわ!」
大はしゃぎする二人を見ながら、爆豪は鼻でフンと笑った。
普段なら「馴れ合ってんじゃねぇ」と一蹴するところだが、不思議と嫌な気はしなかった。
(……あいつが歌う場所(ステージ)だ。観客は多い方がいいに決まってんだろ)
自分の隣で、期待に胸を膨らませる友人たち。
そして空の上で、自分を待っていると言った彼女。
「……ヘマすんじゃねぇぞ。……遅れた奴は置いてくからな」
「「了解!!」」
二人の威勢のいい返事が、静かな和の国の夜に響く。
爆豪は酒をぐいと煽り、少しだけ、本当に少しだけ、満足そうに口角を上げた。