Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「一回しか言わねぇからよく聞け」
翌日の夜。
『ツクヨミ・レルム』にあるお馴染みの居酒屋で、珍しく爆豪に呼び出された緑谷と上鳴は、目の前のテーブルにホログラムで浮かび上がった「銀色の羽」のアイコンを凝視したまま、石のように固まっていた。
「……これ、天空の城(クラウド・キャッスル)の……ダイレクト・アクセスキー?」
緑谷震える声で呟く。
「しかも、これ……『関係者専用(ALL PASS)』って書いてねぇか!? おい、これがあれば抽選とか関係なく、当日の中枢エリアに入れるってことだろ!?」
上鳴が椅子から転げ落ちんばかりに身を乗り出した。
「爆豪! お前これ、どうしたんだよ!? 闇サイトで買ったのか? それともサーバーに爆破(ハッキング)でも仕掛けたのか!?」
「あぁ!? んな物騒な真似するかよ! ……まぁ、ちょっとした伝手だ。あっちの知り合いから『人数制限ねぇから好きにしろ』って渡されたんだわ」
爆豪は腕を組み、不貞腐れたように視線を逸らした。
本当は、あの水の都で彼女――エミリアと二人きりで交わした約束の結果だが、それをこの野次馬共に説明する気はさらさらない。