Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
BLASTが珍しく歯切れ悪く言い淀むと、彼女は一瞬驚いたように目を丸くし、それから春の陽だまりのような笑みを浮かべた。
「ふふ、お友達のことですね? 大丈夫ですよ、BLAST。そのパスは人数制限をかけていませんから」
「あ? ……人数制限なしだぁ?」
「はい。中枢の管理権限を使った『関係者招待枠』なので、あなたが連れてきたい人なら、何人でも。……大切な友人と一緒に、私の歌を聴きに来てください」
「関係者……。……おい、いいのかよ。そんな権限、テメェの立場が悪くなったりしねぇのか」
「平気です。私が私であるために、一番必要な人を呼ぶだけですから」
迷いのない彼女の言葉に、BLASTはようやく拳を解き、深く息を吐き出した。
「……そうかよ。……なら、ありがたく使わせてもらうわ。あいつらにも、テメェの最高の歌を叩き込んでやってくれ」
「はい! 約束です」
「あぁ。……礼を言うわ、エミリア」
BLASTの口から出た素直な感謝に、彼女は少しだけ照れたように俯きまた水面を揺らした。
空の上、8月8日の0時。
一人ではなく、自分を支える「現実」の仲間たちと共に、この世界の「真実」を見届けに行く。
BLASTの胸の奥には、落選の苛立ちなどもう欠片も残っていなかった。