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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第2章 初恋は、0と1の境界線上で


彼女はそっと手を伸ばし、BLASTの無骨な手に、光り輝く小さな銀色の羽のようなデータチップを置いた。


「……これは?」

「天空の城への、招待コード(パスコード)です。……8月8日、0時。広場のモニターなんかじゃなくて。私の、一番近くに来てください。……約束ですよ、BLAST」


宝石のような水底で、彼女の微笑みがスポットライトを浴びたように輝く。


「……おい、待て。こんなの、ズルじゃねぇか」


爆豪は手の中の銀色の羽を睨みつけた。
プロヒーローとして、あるいは一人の男として、真っ向勝負の抽選に負けた結果を「裏口」で覆すような真似は、彼のプライドが容易には許さなかった。


「……気持ちは分かります。でも、これはズルじゃなくて、私の我儘なんです」


彼女はまっすぐにBLASTを見つめた。


「私が、あなたに来てほしい。あの場所で、あなたの視線を感じながら歌いたいんです。……これでも、納得してくれませんか?」

「…………。……チッ、テメェにそうまで言われちゃ、断る方が野暮だわ。……分かった。当日はその、一番近くって場所で見てやるよ」


ぶっきらぼうに承諾した爆豪だったが、ふと、数日前の「やけ酒」の光景が頭をよぎった。
自分と同じように、いや、自分以上に純粋なファンとして落選を嘆いていたデクや上鳴の顔だ。



「……だがよ。俺だけそんな特別席ってのも、なんだ。……あいつら、クソ真面目に落選して項垂れてやがったからな。少し……悪い気がするわ」




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