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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第1章 ようこそ『ZERO WORLD』へ


「――おい、verde。いつまで地面這いつくばってんだ。行くぞ」

「あ、待ってよBLAST! この石畳のフラクタル構造、シミュレーションとは思えないくらい複雑で……。あ、あそこの噴水の水の屈折率も、現実の物理法則と完全に一致してる……!」


緑谷は膝をついたまま、瞳を輝かせて周囲をキョロキョロと見渡している。相変わらずの分析オタクっぷりに、爆豪は盛大にため息をついた。


「チッ、テメェを連れてくるとこれだ……。ここは観光地じゃねぇ。さっさと歩け、クソナード」

「ごめんごめん。でも、本当にすごいよBLAST。個性が使えないって聞いて、もっと不自由な世界を想像してたけど……。視界がこんなにクリアで、風の匂いまでして。何より……」


緑谷立ち上がり自分の掌をじっと見つめた。


「……ただの『僕』として立ってる感覚……。これが、BLASTが言ってた『心の暇』の正体なんだね」

「……っ、……ンな小難しいことはどうでもいいんだよ。ほら、食え。その串、上鳴のオススメだ」


爆豪はぶっきらぼうに、シルヴァ・アルフレイムで買っておいた「光るベリーの串焼き」を緑谷の口に押し込んだ。


「んむっ!? ……わっ、美味しい! 甘酸っぱくて、噛んだ瞬間に果汁が弾ける感覚まで……! 脳が騙されてるってわかってても、これは幸せな気分になるね」


「だろ。この世界じゃ、五感が全てだ。理屈でこねくり回すより、さっさと感覚で慣れろ」


二人は幻想的なネオンが輝く大通りを歩き出す。


「……ねぇ、BLAST。あっちの広場、すごく人が集まってるみたいだけど、何かあるの?」


緑谷が指差した先――街の中央広場に、青白い光の柱が立ち昇る。


「…………ライブだ」


爆豪の声が少しだけ低く、熱を帯びる。


「ライブ? 有名なアーティストでも来てるの?」


「あぁ。……現実のどんな歌手(タマ)より、ずっとマシな歌を歌う奴だ。……行くぞ、verde。テメェのその腐った耳を叩き直してやる」



BLASTはverdeの腕を掴むと迷いのない足取りで、魂を揺さぶる歌姫・エミリアが待つステージへと向かった。





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