Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第1章 ようこそ『ZERO WORLD』へ
爆豪の口から出た言葉に、デクはポカンと口を開けたまま固まった。
あの爆豪が、休息を勧めてくる。
しかも、仮想世界でのリフレッシュを。
「……そっか。かっちゃんがそこまで言うなんて。……うん、そうだね。かっちゃんの今のその、少し柔らかくなった表情の理由がそこにあるなら、僕もますます興味が湧いてきたよ!」
「あぁ!? 誰のツラが柔らかくなったっつった、クソデクが!」
「あはは、ごめんごめん! でも、わかったよ。近いうちに僕もデバイスを手に入れてみる。生徒たちと一緒に遊ぶのも、教師としていい経験になるかもしれないしね」
「……フン。やるなら、初期設定で本名とか公表済みのコードは使えねぇからな。気をつけろ」
「あ、そうなの? 詳しいなぁ、かっちゃん」
「……うっせぇ、上鳴がうるさかっただけだ」
爆豪はそれ以上追及されるのを嫌うように背を向け、足早に歩き出した。
もし、あのクソ真面目なデクがこの世界に入ってきたら、どんな名前にするのだろうか。
そんな想像が頭をよぎるが、すぐに首を振って打ち消す。
今は、そんなことよりも。
今夜のライブで、あの歌姫がどんな旋律を聴かせてくれるのか。
ただそれだけが、今の爆豪――『BLAST』を突き動かす唯一の熱源だった。