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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第4章 ♾️


緑谷はその言葉を噛みしめ、背後の端末に記録していく。
だが、通信の向こう側から聞こえてきたのは、彼女の悲痛な報告だけではなかった。
控え室の扉の外。
パーティー会場から溢れ出したゲストたちの、剥き出しの怒号が入り込んできたのだ。


「おかしいだろ! あの歌の後から、急にシステムが変わっちまった!」


「……そういえば、あの曲。今まで聴いたこともないような不気味な旋律だった」


最初は小さな疑念だった。
だが、閉じ込められた恐怖は容易に標的を探し当てる。


「あいつだ……エミリアだよ! 歌姫が降臨した途端にこれだ!」

「今回の祭典はあいつの復活が目玉だったんだろ? 全部仕組まれてたんじゃないのか……あいつが、俺たちを閉じ込めるための『黒幕』なんじゃないか!?」


「違う……そんなんじゃない……っ」


は耳を塞ぎ、鏡の中に映る自分を拒絶するように視線を逸らした。
運営に言われるがままに歌った曲。
自分でもどこか怖さを感じていた、あの旋律。
人々の言う通り、自分の声がこの惨劇を招いたのだとしたら――。


「私が……みんなを、こんな目に……」


ショックに打ちひしがれ、彼女の意識が急速に暗い深淵へと沈んでいく。



 
「――おい、状況はどうなってんだ」


地を這うような爆豪の声が、緑谷の端末を震わせた。
緑谷がマンションの部屋で、震えるを懸命に励ましていたその時、爆豪からの割り込み連絡が入ったのだ。


「かっちゃん! 今、自分の家に向かってるんじゃ……」

「そんなもん、とうに着いてんだよ! ガタガタ抜かしてねぇで、今すぐ状況を吐け!」


電話越しでも伝わる、荒々しい足音とデバイスをセットする金属音。爆豪の焦燥は、もはや限界を超えていた。


「……エミリアから聞いたよ。今、中のユーザーたちがパニックになってて、彼女が歌った歌が原因じゃないかって、みんなが気づき始めてる。……彼女が、黒幕なんじゃないかって、疑われ始めてるんだ」


緑谷の言葉に、受話器の向こうで一瞬、不気味なほどの静寂が流れ、次の瞬間、爆豪の怒号が鼓膜を突き破らんばかりに響く。


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