Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第4章 ♾️
緑谷は彼女のマンションへと赴くと、管理人にヒーロー免許を提示し、緊急事態であることを告げて鍵を開けさせた。
部屋に踏み込むと、そこにはヘッドセットを装着したまま、ベッドに横たわるの姿があった。
まるで深い眠りについているかのように静かに眠っている。
「……よかった、デバイスは生きてる」
緑谷はデバイスを操作し、現実世界のコンソールから仮想空間内の彼女へ向けて、ダイレクト・メッセージを打ち込んだ。
『聞こえる? ちゃん! 僕だよ、緑谷だ!』
その瞬間、天空城の冷たい床に蹲っていたの視界に、現実(リアル)からの光が差し込んだ。
「……緑谷、くん……?」
虚空に浮かび上がった緑谷のアイコン。
届くはずのない場所からの声に、彼女は縋り付くようにウィンドウを抱きしめた。
『よかった、繋がった! 今、君の部屋にいるよ。落ち着いて聞いて……今、外の世界は大混乱になってる。祭典にログインした何百万人ものユーザーが、現実で目を覚まさなくなってるんだ』
「そんな……やっぱり……」
『ZERO WORLDは今、完全に外側から遮断されてる。何が起きたのか、中で何があったのか教えてほしい。……君が無事なら、解決の糸口が見つかるはずだ』
緑谷の必死の問いかけに、は溢れ出しそうな涙を堪え、震える唇を開いた。
「……私の、せいなの。私が歌ったあの曲……運営が指定したあの曲が、トリガーだった。あれを歌い終えた瞬間、世界のコードが書き換えられるのを感じたの……」
彼女の告白が緑谷の端末へと届く。
「あの歌は、ただの周年の祭典を祝う新曲なんかじゃない。
この世界を閉じて、現実との繋がりを断ち切るための……『儀式』だったんだよ」
絶望に染まった彼女の声が紡ぐ。
「……ライブが終わった直後から、ログアウトのボタンが消えたの」
の声は震えていた。
「天空城の中も、他のエリアもパニックになってる。招待されたゲストたちが何度も運営にコンタクトを取ろうとしたけど、誰一人として音沙汰がないの……」