• テキストサイズ

Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第4章 ♾️


緑谷の必死の告白に、爆豪は奥歯を噛み締めた。
今の自分に、緑谷を責めている暇など一秒もなかった。


「場所を教えろ。今すぐだッ!」


爆豪の怒声が、静まり返った早朝の路上に響き渡った。
受話器の向こうから突きつけられた事実は、彼の自尊心をこれ以上ないほどに叩き潰していた。
自分が知らない彼女の現実。
自分が踏み込めなかった彼女の領域。
それを、よりにもよって幼馴染のデクが共有していた。


激しい嫉妬と、得体の知れない焦燥が綯い交ぜになり、掌から溢れる火花がパチパチと空気を焼く。


『……ごめん、かっちゃん。場所は、教えられない』


「――あぁ!? ざっけんな、コラ! 今すぐ吐けって言ってんだよ!」


『できないよ。……彼女と約束したんだ。誰にも言わないって。例えかっちゃん相手でも、それは破れない』


緑谷の声は震えていたが、そこには退かない決意が宿っていた。
爆豪は拳を強く握りしめた。
今すぐ場所を特定して、胸ぐらを引きずり回してでも聞き出してやりたい。
だが、そんな不毛な争いをしている間にも、あの中で独り震えている彼女の時間は刻一刻と削られている。


『その代わり、今から僕が彼女のデバイスにアクセスしてみる。……さっき言った通り、彼女の端末は特別製なんだ。現実からメッセージを送れば、中にいる彼女に届くかもしれない』


「……っ」


『中の状況を確認して、彼女を呼び戻す方法を外から探る。……だから、かっちゃんは待ってて。信じてほしい』

「待てだと……? ふざけんな、俺に指くわえて見てろってのかよ!」


『今は、これが一番確実なんだ! 無理にダイブしてかっちゃんまで閉じ込められたら、外から助けられる人がいなくなる!』


緑谷の叫びに、爆豪は奥歯が砕けるほど噛み締めた。
反論の言葉は喉まで出かかっていたが、ヒーローとしての冷静な理性が、それが最善策であると残酷に告げていた。


「……クソがッ!!」


爆豪は、行き場のない怒りを込めて路上の標識を殴りつけた。
自分には、彼女の現実の居場所さえ分からない。
手を伸ばすことさえ許されない。
ただ、デクという細い糸に、彼女の命運を託すしかない。
その屈辱に、爆豪の瞳は紅く燃え上がった。







/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp