Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第4章 ♾️
ビジョンの向こうで繰り返される、異常事態の速報。
爆豪は、握りしめた拳が震えるのを止められなかった。
「……目覚めない、だと?」
画面の中では、専門家が深刻な顔で解説を続けている。
『ZERO WORLD』は現実のネットワークから完全に遮断されたクローズド・システムであるため、内部で何が起きているのか、外側からは一切観測ができない。
ダイブすれば最後、システムが復旧するまで現実(リアル)に戻ってくる術はないという。
「ダイブ禁止令……? 冗談じゃねぇぞ。あいつが、あの中に残されてんだぞッ!」
八方塞がりだった。
中の状況もわからず、助けに行くためのダイブすら禁じられている。
焦燥が爆炎となって掌から溢れそうになったその時、ポケットの中で端末が激しく震えた。
「……デクか!ニュース、見たかよ」
『かっちゃん! 今、どこにいる!?』
緑谷の声は、かつてないほど切迫していた。
その尋常ではない様子に、爆豪は眉を寄せる。
「現場だ。……クソが、あいつの様子も見に行けねぇ……!」
爆豪は、彼女が現実世界のどこで、どんな姿で暮らしているのかすら知らない。
ただバーチャルの中だけで繋がっていた絆が、今、残酷な壁となって立ちはだかっていた。
そんな爆豪の焦りを見透かしたように、緑谷は意を決した声で、今まで隠していた事実を口にした。
『かっちゃん、落ち着いて聞いて。……彼女、エミリアさんの場所なら心当たりがある。僕、彼女の家に一度行って、会ってるんだ。現実の世界で』
「……あ? テメェ、何言ってんだ……」
爆豪の思考が一瞬、停止した。
自分ですら踏み込めなかった彼女の「現実の領域」に、なぜ緑谷が触れているのか。
『それだけじゃない。……彼女のデバイスは特別製なんだよ、かっちゃん。……本来は遮断されているはずの現実(リアル)と、ダイブしたままメッセージのやり取りができる機能がある』
「なっ……なんだと、コラ!? なんでテメェがそんな事知ってんだよ!」
爆豪の怒声が響く。
隠し事をされていた憤りと心配が、胸の中でぐちゃぐちゃに混ざり合う。
『ごめん、今度僕を殴っていい。でも、その特別なデバイスなら、外側からでもシステムに干渉できるかもしれない。……中の状況を唯一知ることができる、希望なんだ!』