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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第1章 ようこそ『ZERO WORLD』へ


「――今日もライブに来てくれてありがとう。また、ここで会いましょう」


光の粒子となってステージから消え去るその瞬間まで、数え切れないほどの熱狂が肌を刺していた。
視界が真っ白に染まり、次の瞬間、私は現実の「静寂」へと引き戻される。
重たいフルダイブ・デバイスを外し、大きく息を吐いた。


「……ふぅ。今日も、終わった……」


そこは、都心の一等地に建つ高級マンションの無機質な寝室だ。
作業部屋に向かいモニターを点ける。


そこには、今日のミニライブの収益と、現実世界の音楽チャートがリアルタイムで映し出されていた。


『ZERO WORLD』限定で発表された新曲は、またたく間に現実の配信サイトへとエクスポートされるようになり、ここ最近ではトレンドの上位を独占している。
街を歩けば、きっと至る所で私の作ったメロディが流れているだろう。
私が一つひとつ、この孤独な部屋で紡ぎ出した、誰にも言えない叫びや祈りが。


「皮肉なものだよね……」


自嘲気味に呟きながら、キッチンでミネラルウォーターを口にする。

中学の頃、同級生たちに「お前みたいな無個性に、居場所なんてねぇんだよ」と切り捨てられた私の声が。
現実では誰にも届かなかった、震えるだけの私の言葉が。
今や世界中の人々の耳に届き、莫大な富を私にもたらしている。


現実の私は、相変わらず誰とも目を合わせられない、孤独な引きこもりだ。


けれど『ZERO WORLD』のエミリアとして生きる時間だけは、私は誰よりも雄弁になれたーー。





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