Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第3章 未完の初恋、ログイン不可の心
『過去も、今の本当の私も、すべてをあなたに受け止めてもらえる勇気がほしい』
……けれど、それを今言葉にするには、まだ心が震えすぎていた。
「……ひみつ」
「あぁ!? 教えろよ、気になるだろーが」
「だめ。……教えたら、叶わなくなっちゃうんでしょ?」
悪戯っぽく微笑んで見せると、爆豪は「チッ、食えねぇ女だわ」と不機嫌そうに鼻を鳴らした。
だが、繋いだ手は決して離そうとはせず、むしろ愛しさを確かめるように、さらに深く指を絡めてくる。
天空で渦巻く光の川が、二人の頭上でどこまでも眩しく輝いていた。
二つの想いが天の川の中で混ざり合い、運命の歯車を静かに、けれど確実に回し始めていたーー。
繋いだ手から伝わっていた熱が、ログアウトの時間が近づくにつれて、いっそう愛おしく、離しがたいものに変わっていく。
爆豪は指の隙間を埋めるようにさらに一度強く握りしめると、観念したようにふっと力を抜いた。
「……今日は、もう落ちるわ。明日も早ぇしな」
彼の声には、耳を疑うほど柔らかな響きが混じっていた。
「……うん。おやすみ、BLAST。今日は本当に、楽しかった」
が微かに顔を上げて微笑む。
アバター越しの表情ではあったが、その瞳に宿る熱は間違いなく本物だった。
「……ああ。……おやすみ。……また、な」
その「また」という響きが、二人の間に確かな約束を刻みつける。
光の粒子が二人の体を包み込み、境界線が曖昧になっていく。
最後に交わした視線は、次に会う時への期待と、離れがたい切なさが混ざり合った、甘く静かな火花を散らしていた。
現実の自室。
デバイスを外した爆豪は、暗闇の中で仰向けに横たわった。
網膜に焼き付いた七夕の光景と、掌に残る彼女の華奢な手の感触。
(……待ってろ。本当のテメェを、必ず見つけ出してやる)
彼女の隠し事も、怯えも、すべてを飲み込んで抱きしめる覚悟が、静かに胸の中で固まっていたーー。