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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第1章 ようこそ『ZERO WORLD』へ



「……っ!……美味ぇじゃねぇか」

「だろ!? まあ、腹は膨らまねーんだけどな。脳が『美味い』って錯覚してるだけだから。でも、この世界の通貨は現実と直結してるからさ、調子乗って食い過ぎると翌朝の預金残高にビビるぜ」


「……この飯も、さっきの投げ銭も、全部『現実(あっち)』の金だってのか」


爆豪は空中に指を滑らせ、ステータス画面を表示させた。
そこには、普段ヒーローとして命を懸けて稼いでいる額が、この世界で使える『通貨』として残酷なまでに正確に反映されている。


「そう。ここでは金さえあれば何でも買えるし、逆にここで稼げば現実でもリッチになれる。あそこのエルフが着てるようなレア装備も、現実の高級車一台分くらいするんだぜ」


「……っ、ふざけた世界だな。金と魂さえあれば、個性なんてゴミだと言わんばかりじゃねぇか」


爆豪は掌をじっと見つめる。
風の冷たさ、飯の味、そして、さっきの歌声の残響。
どれもが現実と何ら変わりない。……手のひらから火花が散らない、その一点を除いては。


「美しすぎて反吐が出るぜ。……おい、次はどこだ」


「お、乗り気じゃん! じゃあ次は、海の世界―『アクア・クリスタリア』までひとっ飛びだ!」


青く光るワープゲートへ向かいながら、爆豪は無意識に、さっきの歌姫が消えたステージの方向を振り返っていた。


個性のないこの不自由な世界で、彼女は誰よりも自由に、強く輝いていた気がしたからだ。



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