第5章 未来視
”図書館”とはこの『ドーム』の中にあって最古の情報集積機関である。そう言うと何やら貴重なもののように感じられるが、その情報の集積方法、出力方法は、4世代以上前の技術によるものである。
もちろん、情報集積機関であるので、そこにある情報を読み取り、活用することは可能である。が、情報の保存形式上、その利用には視覚経路を経由する必要がある。文字データによる情報摂取は時間がかかる上、生体への誤入力が多く発生するし、何より負荷が高い。そのため、古代情報学の専門家でもない限り、通常参照されることはほとんどないものだった。
しかし、博士はそういった情報のやり取りを好む傾向にあるようだ。頻繁に、”図書館”を利用していた。
やっぱりうちの教授は変わっている。
助手はひとつため息を付くと、サイドテーブルに置いた冷めかけた飲料をトレーに乗せ、自身も部屋を後にした。