第1章 京都にて
が部屋から出て行って、入れ替わるように庭であったじぃが部屋に入ってきた。
気の抜けた五条を見て、面白そうに笑った。
「まだ緊張しますか、悟さん。」
「んーー」
五条の肯定も否定もしない返事に、じぃはさらに笑った。
「まぁ、親の決めた結婚ですもんね。最初は仕方ないですよ。でも悟さんと奥様ならきっとそのうちうまくいきますよ。」
「そんなもん?まぁ、やな奴じゃないのはわかってるけどさ。」
だらっと机に頬を寄せ、五条は口を尖らせた。
じぃは、その向かいに座り、首を振った。
「やな奴だなんてとんでもない。」
「そなの?普段あの人何してんの?仕立て屋が来てたみたいだけど、新しく着物でも買うの?」
「坊ちゃん……」
少し呆れたようにじぃは五条を見つめた。
あまりに自分の嫁に興味がなさすぎるだろう。
「坊ちゃんはやめてって。」
「なら、当主らしく少しでも自分の家のことも気にしなさい。じゃないといつまでも坊ちゃんですよ。」
「……。」
「今回の仕立て屋さんは私たち使用人全員の服ですよ。」
「は?なんで。」
自分のいつもの普段着を着ればいいだろうと五条は眉を寄せた。
「庭師には庭師の、お台所やお掃除担当には、汚れが落ちやすく動きやすいものを。エプロンや手袋など全部奥様が考え用意してくださってるんですよ。」
知らなかったんですか?とじぃは呆れたように言った。
「今までは自分で用意して後からお給料に含めてくれていたのを、制服として配給することになったんです。」
「ふーん。」
「五条家の中はかなり変わりましたよ。」
五条は部屋をぐるっと見渡した。
綺麗に花は生けられ、埃ひとつないのはここで働いてくれているものたちのおかげだ。
そんな人たちが働きやすいようが色々と考え変えて行っていた。