第2章 めまい
子供2人を布団に寝かしつけ、はふぅと息を吐くと、自室に戻り使用人からの報告書に目を通した。
「禪院家の伏黒甚爾とその妻の死…後妻とその恋人の連れ子。それが津美紀ちゃん…ね。2人は全く血は繋がってないのか…」
禪院家の術式を持つ可能性のある恵を五条家当主が保護するのには、きっと何か考えがあるのだろう。
それを邪魔しないよう、2人を隠すようにきちんと保護しつつ、育ててあげないと。
「これまでの境遇を考えると……」
甘やかして愛情を注いでやりたい。
は、2人が玄関に立った時のことを思い出した。
むすっと目も合わせない恵。
大人を怒らせないよう不安ながらも笑みを浮かべる津美紀。
少し痩せ細り、小さくなった服を着て立つ2人をーーー…
「今いい?」
自室の外から声をかけられは“どうぞ。”と、返事をした。
襖を開けたのは五条で、風呂上がりなのか先ほどの黒い服とは違って浴衣を着ていた。
「えっと…」
「どうぞ座ってください。」
「あぁ、ありがとう。」
「お茶を…」
そう言って立ちあがろうとするを、五条が止めた。
少し話がしたいだけだからと。
「……」
気まずそうに目を合わせない五条を、はくすっと笑った。
「悟さま?」
「なんか、色々任せっきりで悪いなって。」
「それは、家のことですか?それとも2人のことですか?」
は、立ち上がり五条の膝の前に正座をした。
「まぁ、そうだね。今までのことも。」
「私はなんとも思っていませんよ。…誰かに怒られました?」
歌姫に肩身が狭い思いをさせていると言われた。
何も言わない五条には、いつもと変わらない笑顔を浮かべた。
何を考えているかわからないその笑顔が、五条は少し苦手だった。
無理をしているのか、本当に笑っているのか…
「全く怒ってなどいませんよ。私は小さい頃から五条家へのサポートができるよう教育されていました。そういう家です。婚約者の候補の1人でもありました。」
「そうなんだ。」
婚約者の候補がいたことも知らされていなかった五条は、少し驚いた。