第2章 めまい
「これがシャンプーで、こっちがリンス。1人で洗える?一緒に入ろっか。」
「いいよっ!1人でできる!」
「すごいね。6歳ってもう何でもできちゃうんだね。」
くしゃっと恵の黒い髪の毛を撫でると、照れたようにの手を振り払った。
食事の後に、ひと休憩してお風呂に案内すると、いつも別々にシャワーで済ませていると言う2人に、は五条家の少し小さめのお風呂へと案内した。
「着替えはお友達から貰ったのと新しいのと置いておくから、タオルもここね。困ったら近くに人いるから声かけてね。」
「……わかった。」
ぶすっとしているが、少し顔を赤らめ照れてるようだ。
あまり人からの好意に慣れていないのだろう。
そんな様子を見ては、とことん甘やかしてやりたいと思ってしまうほどだった。
「恵のことありがとうございます。」
脱衣所から廊下に出ると、そこで待っていた津美紀が丁寧に頭を下げた。
まだ7歳だと言うのに異様にしっかりしている。
「おねぇちゃん1人で偉かったね。これからは私も一緒に頑張るからね。」
「……でも」
「2人とも遠慮しすぎです。五条悟さんからあなた達の保護を頼まれました。親…とまでは言えませんが、不自由はさせませんから。大丈夫。今まで通りの学校にも通えるし、私に任せてくださいね。」
「おか…あさんに……また怒られるかもしれないです。」
「たまに帰ってくるの?」
津美紀は手を口元に持っていき、視線を震わせた。
怯えているようだ。
「お母さんの新しい恋人が、私達のこと…いると困るみたいで……その、恵ばっかり叩かれて…」
「私たちは絶対に叩きません。」
「それに…恵は、何か不思議で…その……えっと…」
「恵くんは、何か“見える”?」
びくっと津美紀が身体を震わせた。
に怒られると思ったのか一歩後ろに下がった。
「私たちも見えます。だから、保護しにきたの。もちろん津美紀ちゃんも一緒。………おいで。」
は、津美紀に手を伸ばした。
目に涙を溜めた津美紀が、ゆっくりとの手をとった。
「今までよく頑張りましたね。」
膝をつき、津美紀をゆっくり抱きしめた。
「大丈夫。全部守ってあげるから。」