第2章 めまい
「悟さまは五条家の当主として、家の外で立派に仕事をしておいででしょう?なら、ご実家であるここでくらいなにもせずゆっくりしてくださっていいんです。」
「…それだとは?」
自分の心配をされるとは思いもよらなかったは、初めてきょとんとした表情になった。そしてすぐまたくすくすと笑った。
「好き勝手させていただいてます。使用人たちの配置換えや制服の導入など、最初はしなくていいとご両親に言われたのを、無視してやるくらいに。」
「うちの親無視したの?」
「えぇ。私がやりやすい環境を作りたかったので。」
「僕の嫁、強いじゃん。」
「でしょう?」
2人だけで話をしたのは初めてだった。
穏やかな時間が過ぎる中、ふと五条が言葉をこぼした。
「ねぇ。」
「はい。」
「僕と結婚…無理にさせて悪かったね。」
そこで初めての微笑みが解かれ、眉をぐっと寄せた。
「2度とおっしゃらないでください。」
「……」
「そのようなことは、結婚した後に言うものではありません。」
五条家に嫁に来るということに、どれだけの覚悟があったのか。
それが五条にはまだわかっていない。
御三家の家の大きさがどれだけのものかーー…
「自分の血や、生まれた家のことをとやかくいったところで、どうにもなりません。それは1番悟さまがわかっていることではありませんか。」
はそっと五条に手を伸ばした。
「触れてもかまいませんか?」
「……」
五条は黙って無下限を解いた。
優しく触れるの指先。
思った以上に温かく柔らかかった。
「悟さまのことは尊敬しています。正直まだ人となりは、わからないことの方が多いですが、五条家に無理して嫁入りしたなどと後悔して嘆くより……」
は、五条の右手を両手でぎゅっと優しく包み込むように握りしめ笑みを浮かべた。
「これから夫婦として貴方へ添い遂げる努力をしたいと。そう思っているのです。」