第2章 めまい
「こ、これ…食べていいんですか?」
目の前の食事を前に津美紀が恐る恐るに聞いた。
先程まで離れや庭で、使用人の子供達と遊んでいた2人は、に呼ばれ夕食の席についた。
エビフライやハンバーグなどがワンプレートになったお子様ランチのような夕食。
恵も自分の食事と津美紀に何度も視線を向けていた。
「もちろんですよ。いっぱい遊んでお腹空いたでしょう?ゆっくり食べてくださいね。」
緊張させてはいけないと、小さな和室で2人だけの食事。
は、2人に冷たいお茶を注ぎながら優しく言った。
「いただきます。ほら、恵も。」
「いただき…ます。」
ここにきて初めて声を発した恵に、は安心したように微笑みかけた。
「ゆっくり召し上がれ。今日が金曜日でよかった。今日はここに泊まって明日ゆっくり埼玉にかえりましょう。」
「ありがとうございます…」
まだ状況もわからず言われたことをするだけの2人は、とりあえずにお礼を言った。
なんでここにきたのか、またなんで明日帰るのか、理解してはいないだろう。
今の指示で、他の使用人が2人の戸籍や血縁関係などを調べてくれている。親がどこにいるか、何をしているのか、家の契約などは考える事がたくさんあった。
「美味しいです…すごく。こんなの食べた事ない。」
ぽつりと呟く津美紀には目を細めた。
給食でも、こんな作りたてでたくさんの量はないだろう。
家で親に作ってもらった事がないのだ。
「すごいね、恵。」
「…うん。多分ないと思う。覚えてない。」
「恵のお母さんならもしかして作ってくれてたかもね。」
「…わかんない。」
2人がもりもり食べながら、話しているのをは聞いた。
この会話からすると2人は母親が違うのだろう。
そのあたりも五条から聞かなくてはと、は思った。
「そんなに喜んでくれてよかった。作ってくれた人に伝えておきますね。」
はそう言って、ハンバーグのケチャップを口の横につけた恵の口元をティッシュで優しく拭った。