第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
「なら、俺たちも休憩していけばいい」
「え?」
「所長からは休憩してきてもいいって言われてるだろ?」
「待って。そういう意味…」
いや、うちの所長なら言いかねない。仕事は抜群にできるのに、他人の恋愛を面白がっては応援して、自分の婚期は盛大に逃している人だ。わざわざ焦凍を同行役に指名したのだって、きっと全部分かった上なんだろう。
「最近、二人の時間とれてなかっただろ?」
声も距離もずっと近くて心臓が跳ねる。任務を終えた安心感で緩んだ隙に、甘い誘惑が入り込んでくるみたいだった。
「そうやって急に彼氏になるの、ずるいから……」
「急じゃない。俺はずっと凪の恋人のつもりだ」
そのまま、この甘い空気に飲まれてしまいそうになる。でも、体の奥にはまだ個性の影響が残っていた。
「ねぇ、焦凍。シャワーだけ浴びてきていい?」
「……どうした」
「境界同化すると、相手の感情とか体温とか拾っちゃうの。変に熱が残るっていうか……。少し流してきたい」
「ああ。なら、俺も一緒に…」
「それはやだ」
言い終わる前に被せると、焦凍がわずかに黙る。
「あと、ここガラス張りだから。絶対見ないでね」
「……分かった」
いつもより少しだけ低い声。そのまま視線を逸らして、抱いていた腕をゆっくりほどく。
「待ってる…」
拗ねたかな?そう思ったけど、呟く声はどこか優しかった。