第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
全てが終わった後、体は脱力しきっていた。勝己と並んで寝転び、ぼんやりと天井のライトを見つめる。
「なんか、どっと疲れた……」
「こっちの台詞だわ。振り回された身にもなれや」
「ごめん…。今回のはちょっと厄介なやつだった」
「同行が俺じゃなかったどうしてたんだよ…」
「…ね。それを私も今考えてたの。この依頼の危険性を身をもって感じちゃった」
大きなため息が空虚な部屋に消えていく。
「今度から断ろうかな」
「そうしろ」
「でも、売上的にこの手の依頼を断ったら事務所の経営が傾くんだよね」
「弱小事務所かよ」
「ヒーロー事務所じゃないからね…。でも、実際不倫調査って需要もあるんだよね。抑止力にもなるし」
「辞めるつもりはねぇンか」
「本気で悩んでる…」
「……だったら、同行ヒーローは俺限定にしろ」
「へ?」
「それなら問題ねぇ」
「や、でも、勝己だって仕事あるじゃん。それに勝己クラスのヒーローに同行を頼むとなると報酬も嵩むし、経費がさ…」
「いらねぇわ」
「いらない…?報酬だよ?」
「任務後、報酬代わりに凪が体張って俺を満足させりゃいい。金はいらねぇ」
「は?」
「それでWin-Winだろ?」
「待って。そんな報酬、聞いたことないんだけど」
「今、決めた。事務所に戻ったら所長にも交渉する。…ただし、相手の個性、俺のスケジュール、その辺だけは徹底的に押さえとけ」
「え?」
「契約書は凪が作っとけ。俺は疲れたから寝る…。2時間経ったら起こせ」
矢継ぎ早にそう言うと背を向け、シーツを被る。
静かになった部屋には冷房の音と、空になったクリームソーダのグラス。そして、頭の回らない私。
勝己の背中を見つめながら、この状況を整理してみるけど…。
でもこの提案は私にとってはWin-Winなのか?
もう一回、〝可愛い〟って言ってくれるなら……悪くはないけど。
fin.