第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
この感情が個性のせいだって分かっていても、寂しいとか一緒にいたいとかそういう感情は、きっと最初からあったものなんだろう。縮こまって膝を抱えると余計に悲しくなる。また、涙の味が鼻を掠めた。
「……オイ」
低い声に顔を上げると、勝己は静かに見下ろしていた。拭ききれてない雫がポタポタと落ちる。
「シャワー、早くない?」
「……嫌な予感した」
「へ……」
「いつからンな泣き虫になったンだよ、凪は…」
「……個性の、せいだもん」
「わーっとるわ」
ぶっきらぼうにそう答え、タオルで荒く拭きとる。乱暴な手つきでシーツを捲るとベッドに入り込んできた。
「詰めろ…」
「うん」
ギシッとマットレスが沈み、隣に体温が触れる。勝己は何も言わずに抱きしめると、確かめるように額、頬、唇に口付けていく。
「甘ぇ…」
勝己の掠れた声が甘く響いて、口の中に残るのはバニラの味。さっきまで広くて冷たかった空間が、一瞬で埋まった気がした。
「勝己…」
「……ンだよ」
「優しいね」
「俺ァはいつも優しいわ…」
呆れたように返すくせに、抱きしめる腕は緩まなかった。ただ、勝己の赤い眼を見つめる。さっきまで胸を締め付けていた不安も寂しさも、全部溶けていく気がした。