第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
「んで…、どうすりゃ解けンだよ」
「分かんない…」
「嘘つけ。分かっとんだろ?」
図星を突かれて言葉が出なかった。湧き上がる感情の行き先は、欲を満たしてもらうこと以外にない。ただ、胸に残る罪悪感と後悔が自分をさらに責めるだけだった。
「………優しく、して、ほしい」
そのまま視線を落とすと視界がぼやけた。ぽたっと一粒、涙が落ちると、次の瞬間には止めようもなくなっていた。ただ涙だけが静かに零れて、呼吸が少しずつ乱れていった。
「ま、そうなるわな……」
勝己の呆れた声に胸が痛む。こんな状況になったのも迷惑をかけているのも、私のせいだから…。
「してやる」
「え……?」
「テメェがそうして欲しいなら、お望み通り〝優しく〟抱いてやる」
顔をあげた次の瞬間、頬に指先が触れた。溢れた涙を拭ったあと、慰めるように優しく唇が触れた。
「とりあえず水、飲んどけ…。口ン中、苦ぇんだろ?」
そう言うと勝己は腕を解いた。促されるまま身を起こす。泣き疲れたせいか頭がぼんやりして、上手く力が入らない。
勝己は備え付けの冷蔵庫を開けると、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出して差し出した。本当は〝ありがとう〟と言って受け取るべきなのに、口から出てきたのは別の言葉だった。
「……甘いのがいい」
自分で言っておきながら、さすがに我儘すぎると少しだけ後悔した。恐る恐る顔を上げると、勝己のこめかみがぴくりと引きつった。
「ねぇわ」
「メニューにはあるもん」
「注文しろと?」
「さくらんぼののったクリームソーダがいい」
テーブルの上のルームサービスの案内を指差す。今月のおすすめとして〝レトロ喫茶メニュー〟が掲載されていた。