第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
熱い精液が口内を犯し、苦味の強い濃い香りにむせる。高まっていた緊張感もほぐれていくのと同時に、徐々に体温も下がっていった。だんだんとクリアになっていく現実に罪悪感が込み上げてくる。勝己にとっては屈辱だったはずなのに、背中をさする手は優しかった。
「満足かよ、これで…」
温度の残る声に、急に泣きそうになった。というより、胸が締め付けられるみたいに苦しくなって、理由もなく涙が込み上げてきた。
「……あれ?」
「あ″?」
「なん、…で」
「なんだよ」
「分かんない……。けど、今、すごく……泣きたい」
「ハァァ!?」
勝己の声に肩がびくんと跳ねた。堪えていた涙がその拍子に零れ落ちる。
「マジで泣いてんじゃねぇか…。ンでだよ」
「だって、勝己がおっきな声で、怒鳴るし…。口の中も苦いんだもん」
「それはテメェのせいだろが!!」
怒鳴る声に〝ひっ〟と小さく悲鳴をあげ思わず耳を押さえた。
「テメェな…。俺をおちょくっとンのか」
「……違う。優しくしてくれなきゃ、泣きそうになる」
「………は?」
勝己は絶句し、額を押さえて深々とため息を吐く。
「オイ……。さっきまでの威勢はどこ行った?……好き勝手やっといて泣くなや」
「……だって」
「だってじゃねェよ」
勝己の言うことはご尤もだ。だけど、この責められている状況も勝己の声も表情も私の感情をブーストさせるだけ。
「感情の制御が効いてねぇのか…。まだ解除されてねぇんだな」
「そうかも……。今までもね、たまに、こういうことがあったから」
「あァ!?!?ンで黙っとった!!」
「だからおっきな声、出さないで」
泣きたくもないのに、涙はポロポロと溢れていく。
「わーった…。もう怒鳴らねぇから」
勝己はまだ不機嫌そうな顔のままだった。鼻をすすりながら俯いていると肩を引かれる。
「……え?」
抵抗する間もなく胸元へ引き寄せられて、勝己の腕が背中に回る。
「泣くなっつってんだろ」
慰め方なんて分かってないようなぶっきらぼうな声に、不器用な手つき。それでも勝己なりの優しさに、余計に涙が溢れた。