第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
「事務所から証拠は十分だって。これで任務は完了」
そう言いながらスマホの画面を勝己に見せる。境界同化を解除すると、隣室から流れ込んでいた気配も感情も少しずつ遠ざかっていった。だけど身体に残る熱だけは、まだ燻っている。
「それより、暑いな…」
「あ?ここ、クーラーガンガンに効いてンぞ」
「こういう依頼で個性使うから、多少影響受けちゃうんだよね。でも、冷たいシャワーを浴びたら大抵は冷めるから」
「は?影響受けンのかよ…。聞いてねぇわ」
「だって言ったら、この仕事させてくれなさそうだったから。それに今までもヒーローと一緒だったし危険を感じたことはない」
そう言うと、勝己の表情がぴくっと反応する。
「テメェな……」
「え?」
「危険感じたことねぇって、それ、結果論だろうが。今回はたまたま俺だったからいい。だが、毎回そうとは限らねぇだろ」
返す言葉に詰まる。確かにその通りだった。今まで何事もなかったから、大丈夫だと思い込んでいたのかもしれない。
「でも、もしもの時のためのヒーロー同行だもん」
所長だって女ヒーロー限定でちゃんと実力のある経験豊富なヒーローを選んでくれていた。その言葉に勝己は数秒黙った後、深くため息をつく。
「頭痛ぇ…」
「え、なんで?」
「テメェも所長も、危機感なさすぎだろ…」
「でも今まで大丈夫だったから」
「それは結果論だろうが…。事務所戻ったら、俺が話つける」
「ええ?勝己が入るとややこしくなるんだけど」
「危機管理の問題だ」
勝己の言葉は真っ当だった。でも、リスクのない仕事なんて一つもないし、こういった依頼がなくならないのも現実。でもこんなことを話し始めるときっと朝までかかっちゃう。
「ま、とりあえず、身体を冷やしてくるね」
今は結論より身体の熱を下げることが最優先だ。勝己の返事を待たずして私は浴室へと駆け込んだ。