第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
『別に酷くねぇだろ。まだ結婚生活続けてやってんだから感謝されたいくらいだわ』
『私がいるからいいじゃん。いつでも奥さんの代わりになってあげるよ?』
『そん時がくりゃな…』
『私ならあなたを幸せにできるんだけどなぁ。奥さんよりずっと若いし、可愛いし、全部満足させてあげられるよ?』
『ばーか。生意気言ってんじゃねぇ』
『本気なんだけどなぁ。……ねぇ、今日は朝まで一緒にいてくれるんだよね?』
『ああ。昼には出るぞ』
『やった。じゃあ、それまでいっぱい愛して………あげる』
録音機から流れる声は、隣の部屋の空気ごと運んできた。不貞の事実と、妻への侮辱。そしてそれを当然のように笑い合う声。決定的な証拠としては十分だった。
依頼人の顔は知らないけど、それでも自分のことをこんなふうに話されていると知ったら傷つくだろう。静かに録音を切った後、ため息をついた。
「最低…」
そう呟いた後、ふと隣を見た。勝己は何も言わなかったけど、その表情を見れば分かる。静かに怒っているというよりは、怒りを押し殺している。そんな感じだ。
「……勝己」
「あ″?」
「ごめんね。嫌な思いしたでしょ?」
「嫌な思いしてンのはテメェもだろ。胸糞悪過ぎだ。こいつを爆破するってオプションねぇんかよ」
「あるわけないでしょ。でも、この証拠は社会的制裁に必要なの」
「だったら完膚なきまでに徹底的にやれ」
「大丈夫。今、データを事務所に送ったし、不貞の証拠はバッチリだから」
その時、ベッドの上のスマホが小さく震えた。画面を確認すると、事務所からのメッセージだった。
『データ確認完了。不貞行為の証拠として十分です。任務終了。お疲れさま』
短い文面を読み終えた瞬間、張り詰めていた気がふっと抜ける。