第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
なんとかバレることなく、ターゲットの隣の部屋を確保できた。ここからは時間との勝負だ。不倫案件は案外展開が早い。限られた時間故、部屋へ入った途端に関係を持つケースも珍しくない。
ベッドの向こう側にはターゲットたちがいる。私は荷物を置き、録音機材を手際よく並べていく。
「早速、始めるね。ベッドの上に録音用の機器も広げるけど気にしないでね」
「ンで…?俺は不倫男のターゲットを爆破すりゃいいンか?」
「冗談はやめて…。この案件の報酬、二桁以上あるんだから絶対に失敗したくないの。これ失敗したらエステのローン払えない」
「テメェはバカかよ…」
勝己の呆れた声を背中で聞き流しながら、私は壁へ手を当てた。ひやりとした感触が掌に伝わってきて、一度息を吐く。そして意識を沈める。
部屋の光景がぼんやりと浮かんできて、私は意識をさらに深く境界へ沈めた。境界が曖昧になって溶けるように、繋がっていく。見える景色、聞こえてくる声、そして感情の波。それが自分の内側に入ってくる。映像が鮮明になったところで録音の機器を操作し記録を開始。
『さっきのお酒、強くない?』
『普通だろ?お前が飲みたいって言ったんだろ?』
『そーだけど……。なんか身体熱い。アレ、盛ったでしょ?』
『だからいいんだろ?ここに来た目的考えろ……』
『やだぁ。もう…。知らないよ?』
『せっかくゆっくりできるんだ。時間は有効に使えよ』
『ねーぇ、奥さんには私たちのことバレてないんだよね?』
『当たり前だろ?あいつは俺と違って頭も悪ぃし、いつもヘラヘラ笑って能天気だからな』
『本当に大丈夫なの?それ、演技だったら?』
『な訳ないじゃん。先月から泊まりの仕事だって言ってあるし、金も十分渡してるから文句言わねぇだろ』
『何それ、酷い』