第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
◎ 爆豪勝己
待ち合わせ場所は繁華街の外れにあるホテル街だった。行き交う人はほとんどがカップルで、怪しい客引きも多い。仕事柄何度も来ることはあったけど、まだヒーローと合流できていないのもあって、少しだけ不安も付きまとう。
まだかな…とふと周りを見渡したそのときだった。
「オイ…」
ふいに聞こえてきた声は聞き慣れた声だった。
でも、こんな場所にいるはずはないし、ナンパかもしれないし、それならそれで面倒だしと、聞こえないふりをしてスマホを開いた。
「…無視してンじゃねぇ」
肩を掴まれ反射的に視線をあげると、想定外の人物に思考が一瞬止まった。
「……なん、で」
逆立った金髪。苛立った空気。今にも舌打ちしそうな表情の私服姿の恋人がそこにはいた。
「テメェ、今からどこに行こうとしてたんだ…。あァ?」
顔を上げた先にあったのは、完全に不機嫌な目だった。低い声とその視線に体は動かなくなる。
例え女性のヒーローと一緒だろうと、不倫調査でホテル街に行くなんて言ったら勝己は怒るだろうから、今日だって人探しの仕事だと誤魔化していた。まさかこんな場所で出会すなんて思ってもなかった…。
「えっと…、どこに、って言われても…。仕事だし」
こんな場所でも人探しと言い張れば、誤魔化すことができるだろうか…。自分でも苦しい言い訳だって分かっているけど、
「……今日は仕事、なんだな?」
追い詰めるような低い声に背筋が凍る。
「仕事、です…」
「何のだ?」
「……人探」
「違ぇよな?」
言葉を言い切る前に被せてくる。下手な言い訳は命取りかもしれない。
「ンなとこで…、人探しか?」
距離も詰められて、じわじわと圧をかけてくる。掴まれた肩は勝己の掌の熱で熱い。
「仕事っていうのは本当なの。……でも、人探しじゃない」
言い訳を考えようとしても何も浮かばなかった。もう無理だ…、腹をくくるしかない…。そう諦めた瞬間、肩に触れていた熱がすっと引いていく。