第5章 不倫捜査の同行ヒーローが恋人だった件 爆豪/轟/???
私の個性は【境界同化】。
壁や床、ドアや窓、そういう〝境界〟に触れると、私はそこに溶け込むことができる。といっても体が消えるわけじゃない。意識だけが広がって、その場所そのものになる、そんな感覚。鍛えていくうちに、その空間で起きていることはだいたい把握できるようになった。
感情や空気の影響を受けすぎると、自分の感覚まで引っ張られてしまうこともあるけど、誰がどこにいるのか、どんな声で何を話しているのか、空気の流れさえ拾うことができる。
そのおかげで、今は探偵事務所で働いている。事件解決を夢見て入ったはずなのに、現実の依頼は浮気調査や不倫調査ばかり。命の危険は少ないけど、相手が個性持ちの場合は女性のプロヒーローに同行してもらうこともある。
そして今回の依頼。対象は個性持ち。加えて依頼主が求めているのは〝決定的な証拠〟。つまり、ホテルでの不貞行為中の現場を確実に押さえることが絶対条件。報酬は多いけど、見たくなくても、見なきゃいけない仕事だ。
今回、同行してくれるヒーローとは現地集合だった。女性ヒーロー限定での同行だし、前回はバトルフィスト。あのときは証拠を押さえたあと、ルームサービスを頼んで朝まで恋バナをして…、わりと楽しかった。だから今回も、正直ちょっと気楽に構えていた。
でも、待ち合わせ場所に現れたのは…。
「……は?」
ホテルに同行するヒーローが、自分の恋人だなんて。
そんなの、想定するわけないじゃない。
爆豪勝己 次ページ
轟焦凍 344ページ
??? 355ページ