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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第26章 生活編


「ヴィクトル⋯⋯ありがとう⋯⋯このカード、私の名前が入ってる⋯⋯」

あなたは手の中に渡されたカードを見下ろし、涙がぽろっと落ちた。

あなたにとっても、これはただの物ではない。彼からの最大の気持ちがこめられた証なのだと、胸に迫ってくる。

名前を指でなぞり、彼の思いをきちんと受け取っているようだ。

「本当に、いいの⋯⋯? 私、めったに使わないと思うけど、ヴィクトルの気持ち、すごく嬉しい。大切に持っておくね」

泣き顔で笑みを見せてくれながら、ようやくそう言ってくれた。
ヴィクトルは感極まったまま、頷いて見つめ合う。

しばらくそうしていたが、あなたはふと笑いをこぼした。

「⋯⋯あ、まだヴィクトルの名字じゃないね」

にこにこしながら、そうもらされてヴィクトルは愕然とする。

「⋯⋯えっ? 俺の名字になるの? 名無しちゃん」
「うん。そうしたいなって思ってたけど⋯⋯いい?」

当然のことのようにきょとんとされて、時が止まってしまった彼だが、すぐに首を縦に振る。

「いいに決まってるけど、自由に選択していいんだよ。ほ、ほんとに大丈夫?」
「大丈夫だよ。私、ヴィクトルと一緒になりたいんだ」

もう安心しきったように、照れてはにかむあなたに、今度は彼が瞳を潤ませてくぎ付けになる。

どうやら自分は、とんでもないものを受け取ったようだ。

それからヴィクトルはあなたを衝動的に抱きしめた。
たくましい腕の中で、気持ちを目一杯伝えていく。

「名無しちゃん⋯⋯! 嬉しいよ、君と一緒になれて⋯⋯!」
「私もだよ、ヴィクトル⋯⋯よかったぁ。すっごい嬉しい。待ちきれないぐらい」

二人はじんわりと見つめ合い、キスをする。

触れ合う温かな感触が思い出させた。
受け入れられる喜びは、どちらか一方だけのものではないのだと。

ヴィクトルは思いがけぬ贈り物を返された気分だった。
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