第26章 生活編
「うん、全然いいよ。いつがいい? ごめんね、俺も君の都合を優先したくて、あんまり言い出せなかったんだ」
「そ、そう? 二人で気を遣いあっちゃったね」
そう赤くなり笑まれて、核心を突かれた。
それでも二人の関係は、揺らぐことはないのだと信じている。
ヴィクトルに見つめられたあなたは、喉を静かに鳴らして眼差しを向けた。
「九月って、どうかな。あと三か月ぐらいしかないけど。……二人が出会って、ちょうど一年だから。いいかなぁって」
その言葉を聞いた瞬間、彼に衝撃が走った。
そして、すぐに固く頷き、真剣な瞳で同意する。
「すごく良い。俺達が出会った大切な月だね。……ああ、そうしよう。俺もその日に君と結婚したい」
完全に甘い声で、ロマンチックな顔つきで告げるヴィクトルに、あなたはぼうっと見とれている。
まるで何度目かのプロポーズのように。
「嬉しい……! そうしよう、ヴィクトル」
「うん、そうしよう。名無しちゃん」
二人は明るい月の光が窓から差し込む中、引き寄せられるように唇を重ねた。
距離をさらに少しずつ、確かめ合うみたいに。
互いへの信頼と内に秘めた勇気が、また二人をしっかりと繋げた瞬間だった。