• テキストサイズ

美オヤジを誘って囲われて救われる話

第26章 生活編


ヴィクトルがあの日、寝室で眠るあなたを見つけたとき。
あれほど無防備に、自分に寄りかかってくれたとき。

彼の心は嬉しさとともに、大きな安堵に満ちあふれていった。



「ただいまー」
「おかえり、ヴィクトル! お疲れさま〜。ここ快適でしょう? 涼しくしといたよ」

すっかりエアコンが気に入ったあなたが、廊下を駆けてきて笑顔で迎えてくれた。

それだけで彼は仕事の疲れも消え、表情がみるみるうちに和らいでいく。

「あぁ名無しちゃん……君は俺のオアシスだ……」
「うわっ、背中濡れてる! 車のクーラーつけてないの?」

背広を脱いだシャツのまま抱きしめると、腕の中から文句が聞こえた。
しかし彼はあなたを離さず、まだ癒されている途中だ。

「夜だからいいかなって」
「もう、やせ我慢しちゃだめだよ。夜だって暑いんだから。車で倒れたらどうするの?」

むっと可愛らしく眉を寄せる、あなたの大げさな物言いが彼は好きだった。
どんな小さなことでも、自分を心から心配してくれることも。

それを感じるたびに、胸がせつなくなるような愛しさが湧き上がった。





シャワーを浴びた後、食卓に並べられた料理を二人で食べる。
あなたが作ってくれた、愛情深い品々だ。

ヴィクトルはそのどれもに感動が尽きることはなく、毎回深い感謝を伝えて味わっていた。

だが彼の瞳には少し気がかりもある。

「名無しちゃん。ここに一緒に住んでから、ほぼ毎日作ってくれてるよ。無理しないでいいからね」
「ううん、してないよ。私、一人でも自炊してるし。ヴィクトルが食べてくれるのも好きなんだ」

にっこりと照れたような表情を向けられると、彼も温かくなり何も言えない。

だが念のため家事に関しては「疲れてるときはやらない」と互いに約束をして、一安心を得た。

彼女は同棲経験があり、二人で暮らすこと自体は慣れているように見えた。
ヴィクトル自身も40歳の人生で、誰かと暮らした経験はある。
そんな二人は、普通よりは色々と分かっているのかもしれない。

それでも彼は、あなたの気持ちをできるだけ見逃したくなかった。
/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp