第26章 生活編
「んあ⋯⋯? ここどこ⋯? 今何時⋯⋯」
暗がりの天井がぼやけたまま、むくりと起きる。
見回したが、Tシャツとホットパンツのあなたの体には、薄いブランケットがかけられていた。
あなたはそれを体に巻いて、ベッドから抜け出る。
「⋯⋯ヴィクトル?」
まだ薄目で広いリビングへ行くと、テレビ画面の前で、ソファ下に座り晩酌をしている彼を見つけた。
あなたはふらふらと近づき、こちらに気づいたヴィクトルと目が合う。
「お。名無しちゃん。起きた?」
「うん⋯⋯何食べてるの」
眠気が中々覚めないあなたは、彼の隣にぺたんと座り込み、そのまま甘えるようにブランケットごと彼の胴に抱きついた。
「まだ眠い? ここで寝ていいよ」
「やだ⋯⋯起きる」
彼は完全にあなたに向き直り、体を抱えるように抱きしめてくれている。
すると、そのまま寝続けそうになったが、段々と目が開いてきた。
「ん⋯⋯ふあぁ、あ」
あくびをしてから、彼の優しく細められた黒い瞳に見つめられ、あなたも微笑みが生まれていく。
「へへ⋯⋯来ちゃった」
「うん。おかえり」
ヴィクトルはそう言って、あなたをまたぎゅっと抱きかかえる。
背中を大きな手で撫でられると、彼の言葉の意味が心の中で広がっていく。
ここに帰ってきていいんだ。
そう知って、どうしようもないほど温かくて、安心する気持ちに包まれていった。
あなたはさっきよりもぱっちりした瞳で彼を見やった。
するとヴィクトルの唇が先にちゅっと塞ぎ、しばらく甘いキスをされた。
「⋯⋯可愛いなぁ。まだ眠そうだな、名無しちゃん」
「ううん⋯⋯起きちゃったよ」
ほてる顔を伏せていると、彼の肩ごしに美味しそうな料理を発見した。
それに隣には珍しく、ビール瓶まで置いてある。