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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第26章 生活編


とはいえ、あなたの悩みが全部解決したわけではない。

ヴィクトルは甘えてと言ってくれたけど、時として困難な場合もある。

「はー、店は涼しいなぁ。最近外暑いもんなぁ⋯⋯」

5月に入り、冷房の効いたブティックで一人、あなたは店内を見回りながら呟いた。

欧州でも南に位置するこの国は、すっかり夏のような日差しと気温だ。

働いてるときも頭の中は忙しかったが、仕事に邁進することが結婚生活にも必ず役立つと信じて、いつも通り努めていた。

勤務が夜に終わり、あなたは最寄り駅から自宅アパートメントに帰ってきた。

石造りの階段を上がって玄関扉を開けると、むわっとした空気が流れ込んでくる。

「うわ⋯⋯シャッター全部閉めておいても暑っ⋯⋯やっぱり屋根下は熱がこもるよね」

靴を脱ぎ、だるい体を起こしながらリビングへ荷物を置いた。

夜は少しは涼しくなるため、家中の窓を開け放ち、すぐにシャワーを浴びる。

戻ってきてからも生温い空気の中、料理を作る気にはなれず、冷凍庫にあった残り物を温めて食べた。

「はあ、こんな姿見せられないな」

まだ仕事中であろうヴィクトルのことを思いながら、あなたは食卓でスマホを見つつ口に運ぶ。

結婚をしたら、色々生活は変わるはずだ。
恋人の立場では、彼との違いを少し遠くから受け入れられていた面がある。

しかし生活を共にするとなれば、自分の役割をどう担っていけるのか、まだ考えあぐねていた。

そしてそんな思いを、彼にどんな風に言葉にすればいいのか、あなたはまだ決めることが出来ないでいた。
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