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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第26章 生活編


エレベーターで上階へ向かう際も、彼らの会話はビジネス上とはいえ、フレンドリーな様子である。

30代半ばのエージェントはスーツにネクタイを締め、金髪を上品に整えている。腕時計も高級感があり、隙のない身なりだ。

物件探しといえば、カタログやネットで候補を見つけ、予約して見学するのが普通である。

けれど彼らの世界では、紹介やこれまでの繋がりが大きいらしい。

なるべくおしとやかに中を見て回ろうと思っていたのに、こうした世界が初めてのあなたは、見るもの全てに圧倒されていく。

「え、すごい、大きなベッドルームが三個もある、全部に豪華な浴室ついてるよ!」

マンションは6LDKもあり、カップルには広すぎる間取りに思えた。

だが室内はどれも洗練されていて、壁や照明の一つ一つが計算し尽くされている。
それでいて大仰さはなく、見事な調和だった。

そしてヴィクトルもあなたも高層階にはあまり惹かれず、静かで落ち着ける住環境を好んでいたので、そんな二人の共通点は嬉しかった。

「名無しちゃん、テラスもあるよ。夜は結構綺麗みたい」
「本当だ~もうここ夢だよ、空が広く見渡せて綺麗だねえ」

広々としたテラスからは、赤茶や橙色の屋根が美しいグラデーションのように重なり、神聖な教会も一望できた。

ここに住むのはどんな人々なのだろうと、まだ部外者のような感覚のまま、あなたは景色を見つめていた。

遠くの鳥のさえずりを聞きながら、夕日が落ちるのを想像し、熱いため息が出る。

売主が生活感のある状態を見せてくれたので、ここまで豪華じゃなくとも彼との暮らしをリアルに想像し、来てよかったと思った。

それにあなたは、もうひとつ大事なことにも気づいていた。
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