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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第26章 生活編


四月に入り、気候も温かくなってきた頃。
あなたは自宅アパートメントのソファで、彼とテレビを見ていた。

海が綺麗な外国ホテルを特集しており、さっきから目が奪われている。

「うわぁ〜っ、見てみて、この白亜のホテル素敵だね~目の前に海があるのにプールまでついてるよ」

興奮して喋っていると、隣のヴィクトルも興味深そうに「ほんとだねえ」と頷いていた。

その後もうっとりと想像の世界にいたら、彼の視線をいつの間にか感じた。

「どうしたのヴィクトル。あ、違うの見たい?」
「ううん。ねえねえ名無しちゃん、今度、物件見に行く?」

軽やかな口調ながら真摯に聞かれて、あなたはかなり驚いた。

「ぶ、物件? 二人で見に行くの?」
「うん。なにか見ておいたら、今後の参考になるかなと思ってさ」
「……そ、そうだよね! それいいと思う。見るだけなら!」
「ふふ、そうそう。見るだけね」

思いがけない話に焦ってしまったけれど、彼は穏やかに微笑んでいる。

あなたはもう、テレビで流れている遠い国のホテル特集が頭に入らなくなってしまった。





後日、ヴィクトルと一緒に、本当に都市中心部にある高級低層レジデンスを内見することになった。

あなたはなるべく上質な服を選び、この場にふさわしい格好を心がけてきた。

一方ヴィクトルはカジュアルなジャケット姿が違和感なく溶け込み、その余裕ある佇まいがさすがだと思う。

緊張して吹き抜けのロビーへ入ると、大理石が広がる静かな空間で、担当の不動産エージェントが待っていた。

「お久しぶりです、ヴィクトルさん。本日はお越しいただきありがとうございます」
「こちらこそ、マルコ。五年前に君に担当をしてもらって、満足する物件に出会えたからね。こちらは俺の婚約者なんだ。今日は彼女と一緒に内見をさせてもらいたい」
「もちろんです。初めまして、マルコと申します。何かご質問があれば、いつでもお声がけください」
「ありがとうございます、名無しです。よろしくお願いします」

あなたも笑顔で握手を交わした。
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