第25章 実家訪問編
お茶と食べ物を持ってふかふかのソファに座り、ローテーブルの前で一息つく。
「ヴィクトル。私こんな生活してたら、人が変わっちゃうかもしれないよ」
「ええ、そうかい? うーん、想像つかないな。見てみたい気もするけど」
からかい交じりの彼の言葉に、あなたも少し苦笑いだ。
まだ22歳の年頃で、こんな体験をしていいのかとも思った。
それにヴィクトルは昨日から実家を訪れてくれていたが、あまりの差に何も思わないのだろうかと不思議に感じる。
ちらっと彼を見やり、こう尋ねた。
「ねえねえ、金曜も遅くまで仕事で、昨日も朝早かったし、疲れたでしょう」
それは体だけでなく、精神的にもという意味だったのだが、彼はにこやかに笑って首を振る。
「大丈夫、このぐらいなら全然疲れないよ。むしろ今は元気が有り余ってるかもな。興奮しちゃってね」
照れくさそうに話す姿に、あなたは少し驚いた。
彼も相当安心したのかもしれない。無事に挨拶が済んだことに。
「それに君といると、一番リラックスできるって教えたでしょう? だから――」
そっと手を繋がれる。彼はあなたの手を大事に手のひらに包み、優しく見つめてくる。
そんな眼差しを前にしていると、愛しい思いが湧き上がってきた。
「もっと一緒にいたいんだ。ほんとはね」
あなたは彼の言葉にはっとなった。
それ以上何も言わなかったけれど、彼の気持ちが心にダイレクトに伝わる。