第25章 実家訪問編
彼は完全な大人だけれど、ここ数日は爽やかな好青年のような印象が強かった。
しかしベッドの上では、いつもあなたを瞬く間に満たし、翻弄することが多い。
そのどちらの顔にも、いまだに驚かされてしまう。
愛し合ったあと、二人でお風呂へ向かい、体を洗った。
いつの間にか夜も遅くなり、部屋に戻ってきてから、あなたはお腹が空いてることに気づいた。
「ヴィクトル、夜ご飯食べるの忘れちゃったね」
「そうだねえ、どうしようか。デリバリーでもいいけど、時間かかるよな。……そうだ、プライベートラウンジに行ってみる? いつも軽食が置いてあるんだ」
彼はすっかり普段の穏やかな様子に戻っている。
だがさっきまでの濃密な時間が忘れられないあなたは、赤らんだ顔を隠すように慌てて頷いた。
そうしてカジュアルな服に着替え、仲良くマンションの地下へと向かった。
都市部の閑静な敷地に佇むこの場所は、単なる高級マンションというより、富裕層向けのレジデンスだ。
中層の建物は緑に囲まれた落ち着いた造りで、住民も限られている。
24時間対応のコンシェルジュがおり、ホテルのようなロビーを備えているほか、地下にはジムやプール、リラクゼーションルームも完備されていた。
ヴィクトルはジム以外はあまり使わないようだ。
あなたもここを訪れるようになって半年近く経つが、住民専用のラウンジに来たのは初めてだった。
彼はいつでも好きなときに利用していいと言ってくれており、婚約者としてパートナー登録もされているものの、実際には住民ではないため、どこか気が引けていた。
「うわあ、これ本当にマンションの中なの? すごすぎだよ……ちょっとしたビュッフェになってる、スナックもデザートもあるし……」
高級ラウンジの空間には壁沿いにケース入りの軽食が並び、ドリンク用の冷蔵庫とワインセラーまで備えつけられている。
いったいどれほどの管理費がかかるのだろうと、一瞬思考が飛びかけた。
「本当だ、美味しそうだな。結構腹が膨れそうだね」
さらっと述べたヴィクトルも感心している。
人気はまるでなく、スタッフの気配もない。これがお金持ちの生活なのかと、あなたは内心震撼していた。