第25章 実家訪問編
「わかります。彼女はすごく優しい子です。だから、俺もそういう感情を見逃したくないし、そばで守りたいって思うんです」
ストレートに告げると、横からのじっとした視線を感じた。
「よく見てるんだな、あの子のことを」
「⋯⋯はい。ずっと見ていたくなる人ですから。そうしなければいけないとも思ってます」
ヴィクトルが熱い思いをこめて告げると、父の穏やかな顔は、ふっと安心を得た様子だった。
「ヴィクトル。俺はな、正直、二人の関係を心配していた。年の差とか、あの子の性格とか、色々考えたよ。⋯⋯でもさっきの泣きそうな顔を見て、君のことを本当に好きなんだと感じた。まるで子供の頃を思い出したんだ。ああいう顔を君に出せるってことは、心を許してるんだろう」
つれづれと語るステファンの大きな肩は、寂しげでもなく、感慨深さをにじませている。
「もちろん、それだけじゃないぞ。君の人となりは、だいたい分かった気がするよ。職業柄、若い世代とも接するんだが、君はいいやつだ、ヴィクトル」
飾り気のないその一言に、彼の正直な気持ちが集約されている。
ヴィクトルはおのずと心が温まり、膝の上に置いた手に力がこもった。
「ありがとうございます、ステファンさん。……俺も至らないところがたくさんあると思いますが、でも、名無しさんのことは、自分の一生をかけて守っていきます。お約束します」
それは軽い言葉ではなかった。ヴィクトルが背負っている想いそのものだ。
ステファンは彼の肩を優しく叩く。
「ああ、頼んだよ。とりあえず、長生きしてくれよ」
「はい。必ずそうします」
固く受け取ったヴィクトルに、答えが気に入ったステファンは笑った。
二人の間には、すでに共通する男同士の空気感が漂っていた。