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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第25章 実家訪問編


「俺達の頃はな、当たり前のように兵役があった。あっそうだヴィクトル、君の年代でもあったよな?」
「ええ、続いてましたね。俺たちの十年後からかな、廃止されたのは」
「そうだよな。てことは君も行ったのか」
「はい。一年半ですね、大学に入る前に」

さらっと答えられて、あなたは驚いて見やる。
この国では、確かに以前は成人男子が軍隊へ入り、訓練する義務が法律で定められていた。

だが皆が皆兵役するわけではなく、福祉サービスへの従事との選択が可能だった。

「そうか……ヴィクトルも行ったんだね、すごいね。大変だったでしょう?」
「うん。そうだね、想像していたよりは大丈夫だったけど」

彼が苦笑するように話したので、あなたはそれ以上聞いてはいけない空気を感じた。
しかし父は胸の前で両腕を組み、頷いている。

「そりゃ大変さ。別にどっちを選んだっていい、福祉だって軍だってな。両方とも重要な仕事だ。だが軍で準備する者達を、俺は尊敬しているぞ。国の男にはそういう責任がある。いざという時に大事な人を守れないとダメだと思うんだ」

父が真面目な話をすると、あなたは少し顔が曇った。
その通りなのだが、そういう話題のことはまだ若い自分は考えたくなかった。

「はい。……正直に言うと、自分は体が鍛えられるだろうっていう軽い気持ちで入ったんです。でも、一年半しごかれるうちに、意識が変わってきましたね。当時の二十前後の自分もそう思えたぐらいなんですが、この年になって、もっと考えは深まった気がします。……今は婚約して、名無しさんという大切な存在がいるから余計にですね。無駄じゃなかったなって」

彼はやや照れたように、隣のあなたを見つめた。
なんだか悟ったような、彼が遠くにいるような感覚がしてきて、あなたは自然と目が潤んでいく。

「でもやだ、行っちゃやだよヴィクトル。やめようそんな話」
「ああごめん、どこにも行かないよ、名無しちゃん」

二人で思わず気持ちがこみあげていると、母はじろっと夫を見やった。
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