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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第25章 実家訪問編


こうしてまた別の週末に、あなたはヴィクトルを郊外にある実家へ連れてきた。

家族三人には十分なガレージつきの二階建てだが、彼がどう思うのか緊張していた。

「やあ、よく来てくれたな。どうぞ上がってくれ」
「お邪魔します、とても素晴らしいお家ですね。あの、これお二人がお好きだと伺ったので。もしよかったら」
「美味そうなワインとチーズじゃないか。わざわざすまないな、ありがとう。あとで頂こう」

ヴィクトルはこの間より、さらに自然体だ。
父も微笑みを浮かべ迎え入れていて、導入は完璧である。

リビングではエプロン姿の母が待ち構えていて、ヴィクトルに気恥ずかし気に手を振る。

「ハローヴィクトル~。この間はごめんね、相当飲んだよね私達」
「いや主にお母さんたちね」
「はは、全然平気でしたよ。かなり楽しかったですよね、また皆で行きましょう」

彼が爽やかながらしっかり頷くと、母は嬉しそうにハイタッチをし、二人は分かりあえていた様子だった。

よし、ここまでは順調だ。
あなたは部屋がきちんと整えられているか、密かに視線でチェックする。

実は先週の週末にやって来て、自分の部屋と家の掃除を終わらせていたのだった。

それから早めに夕食を食べ始める。
ダイニングルームでは、前回とは違い皆気取らないくつろいだ服装で、和やかな時間が流れた。

「この前の動画、散々見せられてな。名無し、十年ぶりとかじゃないか? 人前で歌ったの」
「そうだよ。勇気出したんだ。せっかくのチャンスだったからね」

一皮むけた自分を誇っていると、父は笑っていた。その穏やかな表情はヴィクトルへ向けられる。

「それに君もすごく歌が上手いんだな、ヴィクトル。フランク・シナトラのようだったよ」
「「古っ」」

あなたと母が同時に突っ込むと、「はははっ」と屈託なく笑ったのはヴィクトルだ。

「嬉しいです、恐れ多いですけどね。ステファンさんもカラオケはするんですか?」
「するよ。俺は結構好きなんだよ。とくに酒が入るとな、マイクを離さないから不評を買うんだ」
「だってお父さん得体の知れない歌歌い始めるんだもん~怖いんだよね」
「え、何それ? 名無しちゃん」
「軍歌だ」

彼に尋ねられ、父が実直な顔つきで答えた。
あなたは目をそらしたくなる素振りで閉口していた。
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