第24章 対面編
「そうか⋯? すまないな。この様子だと、皆楽しんでいたのがよく分かるよ。――名無し、どうだったんだ?」
父に穏やかに聞かれて、あなたは瞳を輝かせる。
「すごく面白かったよ! レストランでもたくさんお喋りできたし、ここでも盛り上がってね、皆でデュエットしたの」
「はは、そうか。よかった。お前の顔から嬉しいのが伝わってくるよ」
からかわれるように言われて、あなたは今日一番ほっとした気分だった。
父はどう見ても普通の状態だ。
前に実家に帰ったときに、ヴィクトルとの仲を確かめてやるなんて言われたから、内心ドキドキしていた。
母とイリスも初対面の二人の様子を、好奇心たっぷりに見つめている。
「ステファンさん、名無しちゃんとヴィクトルの歌動画撮ったのよ、あとで見せてあげる~」
「ああ、見るよ」
「ステファン、ヴィクトルってすっごく優しくていい人なのよ~」
「ああ。もうなんとなく分かるよ」
二人に絡まれた父は、素っ気ない様子で答えたが、少し照れ隠しも入っているとその場の女達は皆気づいていた。
その後、父に送っていくかと聞かれたが、あなた達は自分達で帰れるため母達のことをお願いした。
バーから出て、別れるときのことだ。
「ヴィクトル、今日は皆が世話になったな。また会ったときにゆっくり話そう」
「あ、はい……! ありがとうございます、ぜひお願いします」
ヴィクトルは瞳を揺らし、しっかりと会釈をする。
だが、父はとんでもないことを付け加えた。
「……そうだな。じゃあ、今度うちに来たらどうだ? 泊まりで。それがいいんじゃないか」
「――えっ? 泊まりぃ!?」
それまで大人しくしていたあなたの素っ頓狂な声が割って入る。