第24章 対面編
「名無し! 電話ありがとな。二人とも、大丈夫かっ? 飲みすぎたのか」
怒るよりも不安を浮かべた表情の父が、母達の無事を知ると、胸を撫でおろしていた。
「大丈夫だってばー、二人が優しいから心配しちゃってね。こんなのいつものことなのに」
「今日はしっかりしてないとダメだろう、エレーネ。俺もいなかったんだから――」
ソファでぐでる母の肩に触れ、見下ろしていた父のもとに、もう一人の背の高い男がやってくる。
ヴィクトルのびしっとした顔つきに、あなたも固唾をのんで見守った。
「急にお呼びしてすみません、ステファンさん。はじめまして、ヴィクトルです」
「あっ、ああ、君か。いや、電話をくれてありがとう。……すまなかったな、大変だっただろう。こんな風に二人が酔ってしまって」
父とヴィクトルは目線を合わせ、その場でしっかり握手を交わした。
「とんでもないです。たくさん楽しんで頂けて嬉しかったです。でも、すみません。僕がもっと気をつけていられたらよかったんですが」
彼が反省した様子で告げると、父は軽く口元を上げて笑んだ。
「それは無理だな。俺の手にも負えない子たちだ。⋯⋯二人とも、俺はもう少し威厳をもって登場したかったんだぞ、どうしてくれるんだ?」
父が横目で母達を見やると、皆は呆気に取られたが、一斉に吹き出した。
ヴィクトルも遠慮がちに笑っている。
「威厳は十分だから大丈夫よ、ねえ」
「そうだよお父さん。来てくれてありがとう、助かったよ」
「いいよ、よくあることだ。⋯⋯そうだ、会計は済ませたのか?」
父が気がかりな様子で尋ねたため、ヴィクトルがすでに終わらせたと伝えた。
「すまん、俺が出すよ。今日はこちらの招待だったんだ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。お二人にはとても美味しい夕食をご馳走になったんです、本当にありがとうございました」
彼が柔らかな笑みで告げると、父も若干言葉に詰まる。