第24章 対面編
「あ、もしもしお父さん? ごめんね急に電話しちゃって。お母さんとイリスさんが結構酔っちゃってさ」
あなたは皆に背を向け、早めに通話に出てくれた父と会話する。
一瞬驚かれたものの、すぐに事態を飲み込んだようだった。
「ほんと? 来てくれるの? ありがとう! ええと、ここどこだっけ、駅から十五分ぐらいの――」
説明しようとするが、初めて来た場所で分からない。
すると、テーブルで母達を見てくれていたヴィクトルに「かわろうか?」と声をかけられた。
あなたはドキっとしたが、彼のほうが上手く伝えられるかもと思い、ありがたくスマホを渡す。
ヴィクトルは軽く咳払いをした後、真剣な表情で父と話し始めた。
「どうも、はじめまして。ヴィクトル・ヘイズです。急にお電話してすみません。――はい、大通りの映画館を曲がって三つ目の角を――」
詳細な道のりを丁寧に伝えている。
スムーズなやり取りが続いたあと、彼はほっとした表情で頷いた。
「ありがとうございます、お待ちしています」
緊急時のため短い会話だったが、あなたはスマホを再び手にしてヴィクトルの様子をうかがう。
「大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だったよ。すぐ来てくれるって」
彼がにこっと微笑んだので一安心する。
でもすぐに、これから行われる父とヴィクトルの初対面が気になった。
到着予定時間が迫ると、皆でロビーのソファに移動した。
ヴィクトルは奥のカウンターでお会計をしてくれている。
親族の奔放な様子を見られてしまったことも、かなり恥ずかしく申し訳ない。
でも彼は「まったく問題ないよ。俺に任せて」と言ってくれて、あなたはひとまず酔いと笑いで賑やかな二人の相手をしていた。
「もう帰るの~もっといいじゃない~。あれ、ヴィクトルどこ行った?」
「今ちょっと向こうにいるよ、もうすぐお父さん来るからねお母さん」
「あれー? ていうかもう来たんじゃない? あーっステファンさん! 久しぶり~!」
イリスの明るい声が響き、ちょうど入り口の扉の鐘が響いた。
大きな体格をくぐらせて現れたのは、パーカー姿の父だ。三人を見つけるなり、急いでこちらへ向かってきた。