第24章 対面編
女性陣からは「ちょっと私達に手抜いてたの」と突っ込まれ「あっすみませんそういう意味では」とタジタジになっていたが。
そんな和んだ空気の中で、あなたは余計に肩の力が抜けて微笑みを見せる。
なによりヴィクトルがこんなに誘ってくるなら、いいかなと思ってしまった。
「じゃあやってみようかな。下手でも笑わないでね」
「笑わないよ。絶対かわいいよ」
そう喜んでくれた彼と一緒に歌を決めて、そのまま腕に手を回してエスコートされた。
照明が落とされた隅のステージからは、まばらな客たちが見渡せる。
「うわ、やっぱ緊張してきた。なんで私こんなことしてるんだろう」
「うーん。それは俺といるからじゃない?」
隣から自信に満ちた声がして、見上げたあなたは笑ってしまった。
そうこうするうちにアップテンポの曲が流れ、二人はマイクを握る。
彼の歌声にリードされながら、あなたも楽しく歌うことが出来た。
「ねえ、すっごく可愛いよ。声」
「⋯えっ、マイク入ってるよ!」
「ごめん」
間奏の二人のやり取りが客の笑いを誘ってしまった。
最大の照れの中なんとか歌い上げ、あなたは彼に手を引かれて席に戻ってきた。
母親達は総立ちで両手を振って盛り上がっていた。
「最高よ二人とも〜! もう美男美女のオンステージ! やるじゃないヴィクトル、名無しちゃん!」
「ほんとほんと! 映画のワンシーンのよう! あっ動画撮ったからね、ばっちりよ!」
「その動画俺にもくださいエレーネさん」
「もちろんよ、あとで送ってあげる!」
真面目に伺うヴィクトルが可笑しく、この日のあなた達二人の姿は後にも語られるほど、皆にとって興奮した出来事となっていた。